性犯罪無罪判決について(福岡地裁久留米支部)


福岡県久留米
準強姦罪

静岡県
強制性交等致傷罪

の無罪判決が出ました。
あまりにも納得できない
ので所感を書きました。

<概要>
準強姦罪無罪判決(福岡地裁久留米支部)】

201725日福岡市博多区の会社役員の男性(44)が、福岡市の飲食店で当時22歳の女性が飲酒で深酔いして抵抗できない状況にある中、性的暴行をした、として準強姦(ごうかん)罪で起訴された。
 西崎健児裁判長は「女性が拒否できない状態にあったことは認められるが、被告がそのことを認識していたと認められない」と述べた。 
 判決で西崎裁判長は、「女性はテキーラなどを数回一気飲みさせられ、嘔吐(おうと)しても眠り込んでおり、抵抗できない状態だった」と認定。そのうえで、女性が目を開けたり、何度か声を出したりしたことなどから、「女性が許容している、と被告が誤信してしまうような状況にあった」と判断、福岡地裁久留米支部は2019年312日、無罪(求刑・懲役4年)を言い渡した。


▼私の意見


どうしてこのような無罪判決が出るのか、強い憤りを感じます。

久留米での事件は、加害者が「誤信」したという一点のみを持って無罪でした。
「女性が拒否できない状態にあったことは認められるが、被告がそのことを認識していたと認められない」
と述べられているので、相手が同意していると「誤信」した。つまり、誤解したのであって
故意(自己の行為が法的に(刑法上)禁止されているものであると認識)ではないので
無罪の判断になります。

法律上の理屈はあっているのかもしれません。

しかし、言い換えれば
「嘔吐していて身動きもできない女性が、性交を拒否できると加害者が思っていた」
その加害者の認識は正しいです。
と裁判所が言っているようなものです。
「加害者の認知の誤り」を肯定しているのと同じで
その判断には非常に問題があります。

嘔吐して眠り込んでいる人は、意識レベルが下がっていて危険な状態であり
性交に同意できる状況ではありません。
窒息の危険もあるのだから、介抱の必要があります。

そのような時に、性交すること自体が危険であり
性交に同意することなどあり得ないと、
どうして指摘することができないのでしょうか?

客観的に見いて
意識レベルが下がっている人に
性交をした時点で
その人が望んでいない行為をしたという
故意があったと
事実認定してほしいと思います。


▼市民意識との乖離




を見ると、多くの方がおかしいと思っていることを感じ
裁判所の判断と市民意識との乖離を感じます。


▼提言


イギリスでは
レイプについて
①「(A:*加害者)が、Bが(*当該挿入に)同意する、とAが合理的に確信していなかった時」
②「Bが同意すると確信することが合理的か否かは、Bが同意するか否かを確認するためにAが講じたあらゆる措置を含む全ての状況を考慮して、決定するものとする」<*注釈>
(横山潔「イギリス2003年性犯罪法」成文堂)
となっています。
この「あらゆる措置を含む全ての状況を考慮して」の中には、一般的に考えてということも
含まれます。

②のような条文を刑法の中に入れてほしい。
加害者が鈍感であればあるほど
「認知が歪んでいるほど」無罪になる。

こんな法律と運用を心底変えて欲しいと願っています。


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2020年に控えています。

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<参考文献>
事実の錯誤と違法性の錯誤の区別 一 主要判例を中心として一
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20190321082637.pdf?id=ART0008578885



*掲載記事を元に被害当事者として意見を述べました。

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