刑法性犯罪改正法案は厳罰化ではなく、適正化

 厳罰化と報じられることが多い、刑法性犯罪改正案について考えていることを述べます。

 刑法性犯罪改正案は現行の強姦罪の懲役3年から、改正案では5年に引き上げられるため、報道では「刑法性犯罪の厳罰化」と報じられることが多いです。

 そのためか、「厳しく取り締まられることになる」と誤解している人もいます。
 しかし、私は今のところ、司法関係者から法案改正後に体制を変えたり、研修をするという話は聞いていません。(改正後は定義も大きく変わるので、個人的には研修したほうがいいと思います)

 改正したから、厳しく取り締まられるというのは誤解です。
 誤解を与えかねない厳罰化という表記はやめたほうがいいと思います。

 そもそも、今回の改正は厳罰化ではなく適正化に向けた第一歩だと私は考えています。

 【理由】

1、強盗罪は5年以上の有期懲役であるのに対し、強姦罪は3年以上の有期懲役とそもそも低かった。

2、カナダでは「対等な関係にないことを利用した行為の暴力性に性犯罪の本質がある」(刑事法ジャーナルvol.45 p.5 )
イギリスでも「不同意の性行為に性犯罪の処罰の中核を求める」など「同意の不存在が処罰の可否を分ける」(刑事法ジャーナルvol.45 p.5 )重要な要件になっています。しかし、日本では改正案でも暴行脅迫要件が必要とされており、同意という概念から大きく後れをとっている。そのため厳罰化とは言えない。

3、懲役刑は7年以上でないと、減軽されて執行猶予がつく。

 性犯罪の起訴率は起訴率は低く、平成27年の起訴率は強姦は35.3%、強制わいせつは43.4。でした
また執行猶予もつきます。
起訴されにくく、執行猶予がつくことで軽い処分になるというのが私の印象です。

執行猶予となると裁判所の法廷の場で、加害者の拘束は解かれます。
大きな被害を受け、大変な裁判手続きに協力してきたのにもかかわらず、判決の場で加害者が自由になることを被害者はどう受け止めるのでしょうか。

私なら裁判所はこのような性犯罪を人権を侵害する重大事件として思っていないのだなと受け止めます。
また加害者が収監されないことで、加害者が刑務所内で実施されている性犯罪者の治療教育を受けず、人をモノとして扱う歪んだ認知を持ち続けないかも危惧します。

改正案では、集団強姦罪もなくなります。(集団強姦罪の懲役刑は四年だが改正案である強制性交等罪の懲役刑は五年になるため)
刑法学者田たちは、共同正犯(共犯の罪)で裁けると言いますが、集団強姦は許されないことだという社会への強いメッセージに欠けるものになってしまうことを危惧します。

以上のことから、
▼もともと低い懲役刑である強姦罪を強制性交等罪として懲役五年になったとしても、厳罰化とは言えない。
▼集団強姦罪は、集団性的侵襲罪として残す必要がある。
(強制性交ではなく、性的暴行・性的侵襲罪であると考えています)
 ▼暴行脅迫要件が残っているため性犯罪の実態を反映していない。構成要件を議論し、更なる適正化をする必要がる。
 
 というのが私の主張です。
なので、メディアには厳罰化という表記はやめてほしいと希望します。

性暴力の実態に沿う適正化を求めるうねりを作っていきたいです。

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