7/13 本質的な改正ではない

本日、110年ぶりに刑法性犯罪が大幅に改正されました。
怒涛の約2年間を振り返ると感慨深いです。

私は、2015年7月の国会議員会館で行われた院内集会で「性犯罪の罰則に関する検討会」の取りまとめ報告書の内容を聞きました。
その時に「極めてまれなケースかもしれないが、親子間でも真摯な同意にもとづく性的な関係が全く起こらないとは言えないのではないか」という意見を聞き、対等性がないところに同意はない、という事すらわかっていない人が、性犯罪の改正を議論していることに強い衝撃を受けました。

そして、2015年8月に「性暴力と刑法を考える当事者の会」を立ち上げ、
検討会の後の議論の場である、法制審議会に2回要望書を提出し、
2016年5月には法制審議会のヒアリングに参加するなどして
被害当事者からの声を届けていきました。

2016年秋からは、明日少女隊、NPO法人しあわせなみだ、ちゃぶ台返し女子アクションと共に「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」に参加しました。
そして、国会議員や報道記者、学生や市民に向けて、性暴力被害の実態を経験やデータを通して伝え
暴行脅迫要件の撤廃と叶わない場合の構成要件の追加、
そして、必ず通常国会での改正を実現してほしいと訴えてきました。

今回の改正は、昨年9月に提出された法制審議会要綱(骨子)と変わらないものであるものの、司法関係者への研修の必要性や支援体制の充実が附帯決議案に盛り込まれ、
3年後の見直しが附則(刑法の条文と同等の効力を持つ)となるなど、評価する事が出来ます。

内容についても、以下の変更は一定の前進だと思っています。
疑問に思っているところもあるので、[ ]に書きました。
<定義>
▼性別規定の撤廃(女性以外も被害者に、男性以外も加害者に)
▼これまでの男性器への女性器への挿入だけでなく、肛門性交・口腔性交も含める
[しかし、手指や、異物などの挿入をされても強制性交等罪(旧強姦罪)
 にならないのは問題]

<法定刑>
▼法定刑が3年以上の有期懲役から5年以上の有期懲役に
[減刑されて執行猶予がつくことがないようにしてほしい。また効果的な再犯防止
 プログラムを実施してほしい]

<監護者性交等罪の追加>
▼被害者が18歳未満で加害者が監護者(親などの衣食住の世話をし生活全般にわたって依存・非依存関係ないし保護・非保護の関係がある者)である場合は、13歳未満と同様、加害者が暴行脅迫を用いなくても強姦やわいせつを問える。
[異性からの無理やりの性交をされた人のうち、相手が叔父や兄や祖父などを含む親族であった場合は8%。親がいる場合兄や叔父や祖父は監護者にならず、親族からの被害者であっても、適応されない]

<非親告罪化>
▼事件の認知をもって、検察は事件を起訴できる。(これまでは警察に被害届を提出し、さらに告訴の意思を示す必要があった)
[本人の意向が尊重されるよう「必ず被害者の意向を聞くこと」という規定を刑事訴訟法に含める必要もあった]

しかし、以下の論点は抜け落ちてしましました
時効の問題
▼パートナーからのレイプの問題
▼教師や上司のような目上の立場からその地位を利用された性的強要の問題
13歳以上は暴行脅迫要件を満たさなければ強制性交等罪にならない問題

さらにキャンパスレイプが多発しているのにもかかわらず
▼集団強姦罪が撤廃
されたのは大きな疑問です。

また、暴行脅迫要件(抵抗できないほどに脅されたり、殴られたりしなければ有罪にならない)が残り、本質的な改正ではないと思っています。

刑法性犯罪改正をめぐる議論の中で
不同意性交が性犯罪の本質であり、それを同意のある性交と区別するために
暴行脅迫で判断しているとの意見がありました。

しかし、それでは
だまされたり、自分がいう事を聞く必要がある立場の人から性行為を強制された人が
性犯罪として認められないという現状が変わりません。

日本では多くの被害者が、
「あなたがされたことは性犯罪ではない」と警察や検察からはねられてしまっている
現状があります。

不同意性交が 性犯罪の本質ならば、諸外国のように
「同意がない性交はすべて性犯罪(性暴力)」
という、規定を作ってほしいのです。

諸外国が、上記のような「同意がない性交はすべて性犯罪(性暴力)」という
転換をしたのは

知り合いから受ける被害が多く
年少の被害者と加害者の年齢の差や
加害者が立場により被害者に及ぼしている権限や影響力により
心理的に抵抗できない状態になっているなどの

性暴力のリアリティを精神医学などの研究を踏まえて
科学的に検討した結果、
身体的暴力が伴わなくても、性行為そのものが暴力的でなくても

意思に反した性を強要されることにより
自分の身体の境界線を越えられ、身体感覚、アイディンティティ、自己の尊厳などが
著しく損傷される
大きく長いダメージをもたらす被害であることが理解されてきたからです。

このような理解に基づいた本質的な改正が
日本でも、3年後の2020年には達成されているよう
これからも、当事者の立場からの意見を伝えていきたいと思います。
そして、
同意のない性行為をされて、大きく傷ついている人の声を届けていきたいです。

思いを結集する場として
刑法改正までのミッション団体であった「性暴力と刑法を考える当事者の会」は解散し、
7月7日に一般社団法人Springを立ち上げました。

共に、性被害当事者が生きやすい社会を目指して
3年後の本質的な改正に向けて取り組んでいきましょう!







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